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19xx年11月30日

年のころ:

四半世紀+2

好きなイロ:

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何故彼女が僕に向かって「私を忘れないで」と頼んだのか、その理由も今の僕にはわかる。もちろん直子は知っていたのだ。僕の中で彼女に関する記憶がいつか薄らいでいくであろうということを。だからこそ彼女は僕に向かって訴えかけねばならなかったのだ。「私のことをいつまでも忘れないで。私が存在していたことを覚えておいて」と。
そう考えると僕はたまらなく哀しい。何故なら直子は僕のことを愛してさえいなかったからだ。

実を言うとノルウェイの森は『100パーセントの恋愛小説』という振れこみと、かなりの賛否両論っぷりのせいで何となく敬遠していたんですが、たまたま目に付いたので買ってしまいました。

で、読後の率直な感想。
僕は好きです。僕はね。

多くの村上春樹の作品がそうであるように、世界そのものに死の影がひっそりと寄り添っているような…そんなやや暗めの雰囲気で、面白いだとか感動するとか誰かが幸せになるとか、そういったタイプの話ではないので、「ベストセラー」だとか「人気作家の作品」だといったフィルターを取り除いてしまうと、好き嫌いはハッキリ分かれるとおもいます。
そしてこの作品を好きになった人達も、作品そのものに惹かれたというよりは、登場人物たちに共感した方が多いのではないかと思います。
もちろん僕もですが。


あの光り輝いて見えた頃の面影はどこにも無く、まるで知らない赤の他人のようにやせ細り、薬の副作用で肉は裂け、点滴や導尿、小腸に直接栄養を流し込むためのチューブなどで埋もれ、脳細胞の大半が死滅したため、会話はおろか自律呼吸もままならず、喉に空けた穴にパイプをつなぎ、エアコンプレッサーのような機械で空気を送り込み続けなければ、すぐにでも苦しみもがいて窒息死してしまうような状態が気が遠くなるほど続いた。

そしてある日突然何の前触れも無く旅立ってしまった。

あれだけ苦しみ続けたのだから、せめて最後ぐらいは安らかに逝かせて欲しかったが、医者たちの「懸命の努力」とやらのせいで、肉と骨の間に空気が入り込み、端正だった顔立ちは見るも無残に風船のように膨れ上がっていた。

秀れた人間の早過ぎる死というのは、ときに周囲の人間を成長させると言うが、彼の最期の、あの最期の姿を見てどう成長しろと言うのだろう?
彼の死が僕に与えたのは言い様の無い喪失感とドロドロとした濁流の渦だけだった。

生来、他人に弱みを見せるのを嫌う性格だったため、無理に明るく振舞っていたのだが
「身内が死んだのによく笑っていられるね」と軽蔑したような顔で言われたり、さも思いやりのあるような顔で
「無理しなくても悲しい時には悲しんだ方がいいのよ」と無神経極まりないセリフをしゃあしゃあと吐かれているうちに、気が付くと他人の目を見るのが恐ろしくなり、自分の考えを言葉で表現する事がほとんど出来なくなっていた。

他人に何か言われると、何か言い返そうとするのだが頭が真っ白になって何も言い返せないのだ。
ちょっとした事ですぐにパニックになったし、幻聴もよく聞こえた。
多くの場合は夜、寝入りそうになると色々な人の声が聞こえてきて僕を一斉に非難するのだ。酷い時は昼間でも聞こえた。

それでも月日が経つにつれ、僕の心は少しずつ強くなり(あるいは磨耗し鈍感になったのか)あの途方も無く深く感じた喪失感は月日と共に少しずつ埋まっていき、時々見る「今までのことはすべて夢で、実は何も失われていなかった世界」の夢で呼び起こされる程度となった。

しかし、あのドロドロとした感情の渦は、あの頃と変わらない…いや、更に大きくなりながら僕の胸の中に渦巻いている。
たぶんそれは僕が死ぬまで消えることは無いのだろう。


うん、そんな話はどうでもいいですね(笑
何となく直子の話はこの頃の自分を思い出すんです。
直子も僕も身内の死を体験したのは小学生だったわけだから。(まぁ、直子の姉の場合は自殺だったのだけど
ちなみに僕のお気に入りの登場人物は「突撃隊」です。
彼の素朴で生真面目な性格は、何だかとても好感が持てるんです。
突撃隊の話をしている限り世界は平和で笑いに充ちていた

というくだりなんか涙が出ますね。ほんと(笑
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